転職することで手に入るもの

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僕が新卒で入社した会社はとあるインターネットサービスの運営会社で、業界名で言うといわゆる「Web業界」にカテゴライズされる企業だった。もともとインターネットが好きだったし、何よりもWeb業界の自由な雰囲気に惹かれた。予想通り、職場はかなり自由だった。会社にはサンダルとジーンズで出勤していたし、社内連絡も基本はチャットでカジュアルに済ませ、旧態依然としたビジネスマナー的なものは研修の後はほとんど一度も使うことがなかった。まあそうやって形式にこだわらなくてよいかわりに、仕事自体は結構大変だったのだけど。

Web業界は一般的に、他業界と比べて転職が多いと言われている。事実、僕の働いていた会社も社員の多くは中途採用で、しかもかなりのスピードで入れ替わっていた。僕は結局2年ぐらい働いて独立することになったのだけど、僕が入社した時にいた人の半分ぐらいはもう僕が辞めるころには既にいなくなっていて、「この業界だと2年で辞めても全然早くはないんだなぁ」と謎の感慨に浸ったことを覚えている。

もちろん、これは歴史の浅いWeb業界だからこうなったという話で、世の中にはまだまだ転職が一般的でない業界もたくさんある。それでもマクロトレンドとしては、新卒で入社した会社に定年まで雇用されるという終身雇用というシステムは時代遅れになりつつあるようだ。今やどんな会社に勤めていたとしても、転職という選択肢は存在する。そこで今回は、転職のもたらすメリットについて少し考えてみたいと思う。

転職は比較の視点を手に入れる絶好の機会

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僕が会社員時代に仲のよかった先輩は、非常に転職経験豊富な人だった。年齢は30代前半ぐらいなのだが過去に勤めていた会社の数はかなりの数にのぼり、長くて2、3年、早いと数ヶ月で次の会社に移っていたようである。実際、この先輩は僕よりも後に入社して僕よりも早く辞めていった。とても面白い人で、今でもたまに飲みに行く。

この先輩と話していると、よく「◯◯社で働いていた時は」というフレーズが出てきたものだ。色んな会社を知っていると、比較の視点を持つことができる。今自分の会社で行われていることが果たして業界的には一般的なものなのか、それともその会社だけの特殊なやり方なのかは、その会社だけでしか働いたことがない人にはわかりようがない。新卒入社の社員は、どうしてもそういった「比較の視点」が持ちづらい(もちろん、まったく持てないわけではない。たとえば他の会社に就職した友人と飲みに行って、他の会社のやり方を聞いてみたりすると色々勉強になる)。転職は、こういった比較の視点を手に入れるための有効な手段でもある。

比較の視点を持っていると、その会社だけに存在する理不尽な慣習や謎の社内政治を「ナンセンスだ」と判断できるようになる。これはいわゆる「社畜」にならないためにとても重要なことだ。ジョブホッパーと言われるほど頻繁に転職する必要はないものの、今の会社の慣習やカルチャーに疑問を感じるようであれば、一度転職してみて「比較の視点」を持つことを検討してみるのはよいかもしれない。

転職すれば「帰属意識」では評価されなくなる

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また、一度転職していわゆる「中途組」になると、「新卒組」とは違った目で見られるようになる。会社によって程度の差があるが、一般的に新卒社員は生え抜きの正規軍として扱われ、能力以上に会社に対する忠誠を期待されている。一方で中途採用の社員は傭兵で、忠誠よりも即戦力であることを期待される。

このことはかつて転職をネガティブに捉える文脈でよく出てきた話だが、僕はむしろポジティブに捉えるべきだと考えている。出世競争をするなら新卒のほう有利だろうが、変化の早い現代で今さらひとつの会社の地位に固執してもしょうがないだろう。むしろ、転職することで旧時代的な会社への忠誠であるとか、帰属意識みたいなものから開放される。これは働きやすさに大きく関わってくる。

たとえば、僕が以前働いていた会社では、新卒採用の社員と中途採用の社員とでは、明らかに求められる帰属意識に差があった。新卒社員は業務外のイベントにも強く参加することを求められるし、会社の採用イベントに登壇したり、採用パンフに載ることなども求められる。言うならば、会社に対して純粋な業務以外のサービスをすることを要求されるわけだ。一方で、中途採用の社員はそういうことはあまり求められない。それよりも、しっかりと仕事で結果を出すことを求められる。個人的には、よくわからない帰属意識で測られる新卒社員より、仕事の結果で評価される中途社員のほうが遥かに働きやすいように思う。

自分の未来は自分で決める

もちろん、今の会社に100%満足しているなら、別に転職なんてする必要はない。もっとも、そういう完璧な状態で働けているという人はほとんどいないだろう。多くの人は何かしら現状に不満を持っているはずで、それを改善したいと思い行動することは極めて健全な営みだ。

改善の方法は色々ある。今の会社にとどまりつつ状況を改善する方法を考えるのもいいだろうし、転職もひとつの選択肢として検討してみる価値はある。いずれにせよ大切なことは、自分の未来を自分で決めることだ。自分の未来を他人に100%預けてしまうと、あとで必ず後悔する。どうか後悔のない選択をしてもらえたらと思う。

著者プロフィール

hino100

日野瑛太郎

ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき「脱社畜ブログ」を開設。日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)『定時帰宅。「働きやすさ」を自分でつくる仕事術』(大和書房)がある。

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