「好きなことを仕事にする」のはあまりおすすめできない

こんにちは。ココロ社と申します。20世紀の終わりごろは、ゲームのプランナーをしていましたが、いまは平凡なサラリーマン、ブログを運営しつつ、ときどきライターをしています。
「好きなことを仕事にしたい」と思っている人は多いでしょう。一日の大半を仕事で過ごすのだから、それが自分の好きなことだったら、どんなに幸せなことだろう―そう思うのも自然なことです。しかし、薄々お気づきかと思いますが、一筋縄ではいかないものなのです。今回は、わたしの経験も踏まえて、「好きなことを仕事にするのも結構大変だ」というお話をさせていただきいと思います。

自分の「好き」は、みんなの「好き」なので、報酬は安めです

「好きなことを仕事にする」といったとき、「好きなこと」は、限られた職種に集中します。初対面の人と一から関係を築くのが好きだから飛びこみの営業マンになりたいだとか、逆境で仕事をするのが好きなので、倒産しそうな企業の業績管理の仕事がしたいなどと思う人はさほど多くありません(もしそう思っている人がいたとしたら、きっと天職なので、転職を検討すべきです)。「好きなことを仕事にする」場合の仕事としてあがるのは、テレビ番組の企画、書籍の編集、旅行代理店の企画など、クリエイティブな仕事や、趣味に近い一部の職種に自然に集中します。これらの仕事の多くは、需要と供給のバランスが取れていないので、労働条件がよくなくても人が集まります。応募する側も「朝から晩まで趣味に近い状態になるので、そこでお金をもらえるだけ御の字ではないか」と条件を受け入れてしまうのです。

いくら「好きなこと」でも、やはり趣味ではなく仕事なのです

しかし、その労働条件でも、本当に好きなことができるかは謎。本を読むのが好きだからといって書籍の編集者になったとしても、実際は原稿が遅れないようライターさんをマネジメントしたり、自分は読みたくもないが世間ではきっと読まれるに違いない書籍の企画書を作って企画会議でプレゼンテーションしたりするなど、趣味とは程遠いタスクが山盛りなのです。それなら、編集者よりも校閲者の方がまだ希望に近いかもしれません。それにしても、道端の看板の「てにをは」が気になってしょうがない、などの職業病に悩まされるかもしれないでしょう。
「好きな仕事」をしていると、好きだったことも、仕事の一部にしか見えなくなってしまいがちです。わたしも、学生時代、勉強の合間にしていたゲームは楽しかったのですが、ゲームのプランナーをしていると、プライベートでゲームをしていても、純粋に楽しめなくなってしまい、いまもそれは続いています。

好きなことを仕事にして、仕事ができなかったら地獄です

また、趣味と仕事の違いは、趣味は査定されないが、仕事は査定されるという点。自分の好きなことと関係のない仕事についていて、仕事がうまくいっていなかった場合、「まあ仕事は仕事でうまくいっていないけど、家に帰って楽しく過ごそう」と割り切ることができます。いっぽう、趣味を仕事にして、その成績がよくなかったら、自分にとってそれが世界のすべてですから、ひどく気分が落ちこんでしまいます。仕事とプライベートの評価軸が別であることは、精神を正常に保つためには必要なのです。

「嫌いではない仕事で、時間のとれる仕事」がおすすめ

いま仕事をしている人が「いまの仕事をやめて、好きなことを仕事にしたい」と思う背景には、いまの仕事が忙しすぎて、好きなことができていないことがあると思いますが、それなら、一気に「好きなことを仕事にする」のではなく、「嫌いではない仕事で、早く家に帰れる仕事」について、余暇で好きなことをする道をおすすめします。納得がいかないのであれば、「好きな仕事」の時給といまの仕事の時給を比較してみるといいでしょう。

たとえば……
好きでも嫌いでもない仕事……時給2000円✕10時間+帰宅して趣味の時間、時給0円✕2時間=日給20,000円
好きな仕事……時給1500円✕12時間+趣味の時間なし=日給 18,000円
と比較してみると、「好きでも嫌いでもない仕事+趣味の時間」も悪くないと思えるはずです。

もし、「今の仕事は自分のやりたいことと違う!好きなことを仕事にしたい!」と思ったときには、まずは、余暇に好きなことができる体制を作るか、好きなことではないが、自分の時間が持てて、現在と同程度の待遇の会社に応募してみるのがよいと思います。

転職サイトでこんなことをお話しするのも心苦しいですが、いくら自分の好きなことだからといっても、労働時間が長くなったり、給与が減ってしまったりするような転職をする場合は、熟慮が必要です。

著者プロフィール

kokoro100

ココロ社

東京大学文学部を卒業後、ゲームのプランナーを経て、今は普通のサラリーマン。主著は『マイナス思考法講座』『忍耐力養成ドリル』『モテる小説』。珍妙なブログも運営中。

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